E182CC差動ラインプリアンプ(プリアンプ3代目)

2007.12.02

●経緯

 またしても差動プリを作ってしまいました。

 理由としては、まず外見。稼動中の他のアンプ(300B差動PCL86超三極管接続STAXドライバー)が結果的に似てきたのに対して、E182CC差動プリ(先代)だけ異なる雰囲気だったので、そろえるようにしました。あとRCA端子がゆるむのでそうならない端子にすること、なんとなく(固定抵抗の)アッテネータを使いたかったこと、元ネタであるぺるけさんの回路のカップリングコンデンサ容量が修正された(2.2μF→0.68μF)のでそれに合わせること、などがあります。

 アッテネータは、アムトランスのが(少しだけ)安売りしていたので、作るのを決める前に買ってありました。16,000円……まあ確かに他のアッテネータと比べたら安いにはちがいなかった(ていうか他はみんな巨大なのが問題)。


●設計

 回路としては今までと基本的に変わりませんが、なんとなく小型アンプの出力段並みに電流を流してみようということで、動作点電圧75V・電流10mA・バイアス-2.8V、負荷8.2KΩ、としました。あと、20mAの定電流をCRDで得るのはいろいろ無茶なので、トランジスタ(旧6A3差動のお下がり)で定電流回路を組んでいます。

 電源トランスは、ぺるけさんが試作された1Uラックに収まる薄型のものをゆずっていただきました。これは高さ36mm、スペックはソフトンM2-PWTに似ていて、それで容量はM2-PWTよりも大きめという、巻き線設定だけでも一部に強い引きがありそうな仕様になっています。シャーシに高さ45mm(板厚1.5mm)のノグチトランスS-100を選んだので、結果的に薄いトランスで助かりました(アッテネータが出っ張るけど)。

 直流点火回路は、先代で苦労したのと違い、トランスに余裕があるため素直にほぼ規格どおりの電圧(12.5V)を出すように組んでいます。とりあえずLM317Tで作ってみましたが、整流ダイオード直後で16V出ているのでこのままで問題ないでしょう、って電源電圧測ってないから言い切れないか。

 なんにしても、ぺるけさんがこのトランスの負荷と出力電圧の関係をグラフ化してくださっているので、設計しやすかったです。


●製作

 真空管のマウントは、東急ハンズで買ったL字ステーとスペーサーを使って、ネジ穴だけですむようにしました。この、真空管ソケットが90度横を向いている(今回が初)というのは、かなり工作がしにくいものです。先にソケット側をすべて配線してから、それを周囲の部品につなげるという手順で乗り切りました。配線より、その後のねじ締めが面倒だったかも。

 2mAのCRDは、手持ちにあると思ったらなくて、ありもの2本で2mAになるようにしたつもりが1.8mAぐらいにしかなっていませんでしたが、定電流回路全体としては問題なしでした(ベース電流の供給+ZDの定電圧動作に必要な電流がまかなえている)。Trの発熱は120mW(約6V×20mA)程度ですが、放熱器代わりに金属スペーサーをつけてあります。どうせならパンチングアルミの切れ端にすりゃよかったか。

 最初に書いたとおり、背面用のRCA端子には、ゆるみようのない、黒のベーク板に2端子×3が並んでいるもの(LRごとにアースの金具が一体化している)を使いましたが、これはそのままではあまり見てくれがよくのないで、ちょっとだけパンチングアルミを配してみました。前面用RCA端子には、値段高め(@450円)でしたが、シャーシと触れる部分に突起が出ていて空転しないようになっているものを選択しています。

 前面パネルは、アッテネータやロータリーSWの取り付けを隠すように浮かせました。今までは厚めの板を密着させてボリュームつまみなどの大きさに合わせて大穴を開けていましたが、これだと穴の位置と大きさをきっちり合わせないと当たるし、だからといって余裕を持たせて穴を大きめに開けるとスカスカで野暮ったくなってしまうのでした。今回ついでに、同じコンセプトでPCL86超三極管接続とSTAXドライバー用の前面パネルも作って取り替えてしまいました。

 シャーシ上面は、多数のねじ頭が出ているのと、PMC-100M用の角穴も開いているため、これを隠すために黒のパンチングアルミを浮かせてかぶせてみました。キハ181系。

 最後、ちょっと電源スイッチの取り付けにゆるみがあるため、瞬間接着剤(アロンアルフア)で固定しようとして、接着剤がはみ出してきたなくしてしまい、残念な見た目になってしまいました(写真は失敗する前のもの)。後で「はがし隊」できれいにしないと。


●結果

 各電源の電圧は回路図にあるとおりで、ほぼ想定どおりになりました。利得は2.06倍(1KHz、0.100V入力)です。

 音は……前に300B差動のカップリングコンデンサを小さくした時と同様に、低域の見通しがよくなって、かえってよく聴こえるようになった感じです。もともと何も悪いという感じはなかったんですが、これでまたちょっとだけ良くなりました。

Wonder-Ranch by itokei